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2015年6月

2015/06/21

[REVIEW] 百日紅~Miss HOKUSAI~

映画『百日紅~Miss HOKUSAI~』公式サイト http://sarusuberi-movie.com/index.html

  久々に時代劇を見せてもらった、というのが偽らざる感想です。江戸時代とかは詳しくないので、どれだけ実体に即した描写なのかは不明ですが、昔から見ていた時代劇そのままをアニメで見るというのは新鮮でした。
  さすがに葛飾ホクサイという浮世絵画家のことは聴いたことはあるのですが、江戸時代末期の人だとは知りませんでしたし、彼に娘がいるというのも初耳でした。見る人が見れば、ホクサイとその娘という視点の当て方が興味深いということになるのかもしれませんが、なにも知らなくてもなかなか面白かったと思います。
  プロの声優を使わなかった理由は不明ですが、全体的に耳に引っかかる人がいたのも確かです。まあ、作品自体がゆったりとしたテンポで淡々と進んでいくので致命的とは言いませんが、プロの演技で聴きたかったシーンがいくらかあったのは確かです。
  時代劇を実写でやる困難さをアニメに変えるという選択肢の可能性を見せてくれたという意味で興味深い作品だったと思います。結構見応えのあるいい映画だとは思うのですが、渋い内容だけに限定公開に近い形で公開館が少なかったような気がするのが残念です。マーケティング的には大成功とまではいかないのかもしれませんが、それでも心に残る気になる作品という印象です。

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[REVIEW] 台風のノルダ

「台風のノルダ」公式サイト http://typhoon-noruda.com/

  作品としては悪くないとは思うのですが、映画という観点からすると30分と言う時間は微妙です。まあ、OVAの劇場公開ということなのかもしれませんが。とある田舎町の中学、もしくは高校の少年たちの友情とそこに現れた謎の少女。日常に現れたファンタジーという意味では悪くないアイデアですが、さすがに30分では色々と淡泊過ぎです。結局女の子の正体にはほとんどふれられることがなく、まるで嵐のように去っていってしまいました。
  喧嘩をしていた友人たちの仲直りについては、まあよくある話と言うことで良いとは思うのですが、地球を滅ぼす勢いだった謎の首輪、二人がかりで引っ張っても何ともならなかったのに野球のボールをぶつけると見事に壊れるというのも、想定通りの落ちと言う意味でも物理学的にも無理がありすぎです。
  女の子の来訪の目的もさることながら、帰った後、どうなるのかと言う点も非常に気になります。再構築のために来たのにどうして止めようとしたのか、任務に失敗して怒られないのかなど、気になる点は満載ですが、それらが解決されることはなく空は晴れて物語が終わります。
  OVAとしてはうまくまとまっているとは思うのですが、わざわざ劇場公開にした意図がいまいち感じられません。ただ、台風のノルダにしろ、その前の短編にしろ、手書き感が漂うというか昨今のアニメとはちょっと異なる印象でした。個人的には短編の女の子のはやみんにすべてを持っていかれてしまった印象です(笑)

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2015/06/20

[REVIEW] 攻殻機動隊 新劇場版

映画『攻殻機動隊 新劇場版』 http://kokaku-a.jp/

  ARISEと言う意味でも「攻殻」と言う意味でも実に攻殻らしい作品だなと思いました。ストーリーや時代背景はかなり難解で予習なしに完全理解するのは不可能ですが、そういうのは関係なしに楽しめる見事なアクション映画に仕上がっていたと思います。
  色々憶測を読んでいた時代設定については、OVA版のARISEに続く形で9課が誕生するまでのストーリーとなりました。マーケティング的にも当然の選択ではあるのですが、それ以外の憶測を呼んでしまうあたりが攻殻の奥深さということになるのでしょう。OVAを劇場で楽しませてもらったファンとしては素直に映画に入り込めたように思います。
  ただ、OVAから追いかけているファンとしても、舞台設定はかなり複雑に思えました。大使館占拠と総理大臣暗殺に潜む陰謀、そして素子の過去と501部隊の関連など、後で思い返すとなるほどというシーンは多いのですが、初見としては情報量が多すぎです。そんなストーリー的な情報量に加えて電脳世界というIT的な情報量まで加わるとなると、見る方にも相応の準備と覚悟が必要とさえ思えます。
  電脳というSF色を押し出していることで、一般人には取っつきにくい印象を持たれているかもしれませんが、実はガンアクションや格闘にかなりの重きが置かれているので、普段アニメやSFになじみのない人でも十二分に楽しめる作品になっていると思います。なにせ25周年記念作品なんてタイトルを普通の作品に振ってくるわけがないということを考えてもらえばわかるかと思います。そしてそのタイトルにはじないどころかそれさえも乗り越えたすばらしい出来だったと思います。
  作品数的にはOVA4話+TV版1話とこの映画版ということで多いという印象はないのですが、劇場クオリティということで特にスタッフ方面には多大なる心労となったようで、終わってよかったという空気感でいっぱいのようでした。まあ、今は映画が完成して一息でいいのでしょうが、このまま終わらせてしまうにはあまりにももったいないコンテンツだけに、どうにか次の展開につなげて欲しいところです。「これが最後」という真綾ちゃんの発言を覆すような展開を強く期待したいところです。

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2015/06/14

[REVIEW] ラブライブ!The School Idol Movie

ラブライブ!The School Idol Movie http://www.lovelive-anime.jp/otonokizaka/sp_movie_caststaff.html

  映画単体で見れば、見応えのある面白い作品だとは思うのですが、2期のTVシリーズをふまえた上での集大成となると、若干どころではなく違和感を感じるシーンがありました。
 「現体制のミューズは解散」というのがほのかたちが悩み抜いて出した結論で、それに従って作られたTVのエンディングは、ファン的に同意できるかはさておき、見事な幕のおろしかただったと思います。そんなTVシリーズの後で映画を見ると、往生際が悪いというかいつまで引っ張っているのかなというモヤモヤ感が拭えません。新1年生コンビを踏まえた新体制の話になるわけでもなく、最後のステージを何回するのかなぁと…。
  そのステージは序盤はニューヨークでのライブ、それが終わるやいなやスクールアイドル大集合のライブ。どちらもいかにもマンガというあり得ない展開で、まあそれはいいのですが、さしものファンとしても突っ込みどころ満載と言わざるを得ない。なまじTVシリーズの終わり方がよかっただけに、それを越えようと力が入りすぎた印象さえあります。
  あと、映画の途中でミュージカル的に歌が入ってきたり、そういうのは嫌いではないのですが、ちょっとどころではなく強引さは否めないかなと、そういうあれもやろう、これもやろうと色々やるうちに、ほんとに映画で描きたかったものというのが伝わりづらい映画になってしまったように思います。
  正直、作品として終わりどころを探しつつ見つけられないアニメと、ますます大盛況で終わるとさえいえないライブパートの狭間で、制作側は少なからぬ悩みを抱えているんだろうなという同情さえ感じます。出せば売れるけど書くことがない、作品の終わりどころを間違えると色々大変な事態になるなぁというのが正直な感想です。

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