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2014/08/02

[REVIEW] Transcendence

映画『トランセンデンス』公式サイト  http://transcendence.jp/

  人の意識を移植したAIと言うのは、アイデア的には斬新なものではないと思います。ただ、人を越える知識を手にしたAIが世界征服を企み、それを人類が阻止するという、ありふれたというかハリウッド好みの勧善懲悪作っぽいニュアンスが強調されていたのは残念です。
  そもそも、世界的科学者がポロニウム中毒などという胡散臭い方法で殺害されると言う展開からして怪しさ爆発です。ポロニウムなんて希少な物質が、大規模とはいえテロ組織に簡単に手に入るはありなのかと。もっと簡単に手に入って有効に殺害する毒物など山のようにあるはずです。まあ、そうやって緩やかで避けられない死と言う舞台装置があってこそ、脳の内容を移植しようなどと考えると言うことなんでしょうが…。そして、どうにかAIへのデータ移植に成功した後、アメリカの田舎町にデータセンターの建造が始まります。これも、はじめの一歩としてならともかく、恒久的な解決策としては疑問です。ネットで繋がった世の中、リスクを考えてもデータ拠点は分散化しておくべきところです。
  突っ込みたい箇所は多々ありますが、それ以上に、終盤でほぼ神と化したAIの行動がホラーも真っ青な描かれ方をしていたのが残念です。砂漠の砂を介して人間を操って、銃弾に打たれてもゾンビのごとく復活するとか、SFを通り越してホラーです。そしてクライマックス、結局妻のアップロードを受け入れる経緯となった葛藤もゴチャゴチャしてよくわかりませんでした。最後の最後、人類からネットが奪われて大変なことになって物語が終わるわけですが、これが恒久的なものなのか、それとも一時的なものなのかがよくわからなかったのも残念です。現状のバックアップ設備等を考えると、ウィルスプログラム一つで諸悪を元から絶つのは難しいと思うんですけど…。
  SF的なアイデアとしては悪くないと思うし、嫌いではありません。ただ、それを一般受けさせるための単純化やモデル化の時点で、色々残念な描写の連発になってしまったのが残念です。その意味で、あまり映画化には向かない作品だったと言う印象です。

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