[REVIEW] Ender's Game
映画『エンダーのゲーム』公式サイト http://disney-studio.jp/movies/ender/
全体を通してみれば大変良くできたSF映画だったとは思います。ただ、原作ファンの立場からすると、「ちょっとはしょり過ぎかなぁ…」と言う感は否めません。文庫本上下巻を2時間に納める時点で予想出来たことではあったのですが…。
まず、「サード」とか「モニター」に対する説明がほとんどありません。モニターは、まあ「モニター」という言葉と映像から類推はつくのですが、サードについてはほとんど説明なしです。そして、宇宙空間へあがったエンダーがバトル訓練の末にドラゴンチームの司令官になるわけですが、そこまでの展開が急過ぎです。原作ではかなりの時間をかけてエンダーの軍人的な成長を描いていくのですが、サラマンダーで活躍したと思ったらすぐにドラゴンというのはさすがに違和感ありすぎです。
とある事情で一端地球に戻り、そこから復活したときには敵の前線基地。ここでも原作ファンからすれば間髪入れずにラストバトルです。ボリューム的には3部作ぐらいにしてもいいくらいだとは思うのですが、やっぱりバトルルームでの戦闘や宇宙戦艦でのバトルの見せ場、それに興行的リスクを考えると、続編というのは避けたかったんでしょう。。
中の人的に、バレンタインを白石さん、ペトラさんを佐藤さんがやってる時点で大満足なのに、ビーンが沢城さんでアーライが桑島さん、さらにお母さんが敦子さんだったりする時点で涙ものです。グラフ大佐、というかハリソンフォードが磯部さんだったり、メイザーが麦さんだったりするのも言うことなしです。吹き替えファン的には十二分に満足できるキャスティングで演技だったと思います。
ただし、子供をヒーローに祭り上げて世界を託すというのは、日本のアニメでは日常ではあるのですが、現在のアメリカでは受け入れられる内容なのかは正直疑問です。ハリソン・フォードが子供をいじめる作品、と嫌悪されないか心配になってしまいます。宇宙ものというほど宇宙的ではないし、虫の描写ではスターシップ・トゥルーパーズほどじゃないしということで、原作のポテンシャルを出し切れない消化不良な状態になってしまったかなというのが偽らざる感想です。大変おもしろく堪能はしたのですが、もっとうまくやれただろうと残念に思うところもあったと言う感じでしょうか。
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