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2013/06/01

[REVIEW] 言の葉の庭

言の葉の庭  http://www.kotonohanoniwa.jp/

  美しすぎる映像とは裏腹に物語の中に込められたリアルに胸が締め付けられ、涙が止まらなくなるようなそんな切ない作品でした。
  二人が雨の公園で出会って打ち解けていくのは、最初はほのぼのとさせられます。ただ、物語が進むにつれ、二人の置かれた立場が描かれていくと、いろいろ複雑な思いに捕らわれます。なぜ彼女が朝から公園に座っているのか、どうしてビールとチョコレートなのか…。それを真正面から問いかけるのも、後から思うと残酷な質問です。
  雨が降ると午前中をさぼる生徒も、生徒達からのいじめで学校にいけなくなる教師というのも、かなり前にド田舎で高校生活を送った自分には想像の範囲外ではありますが、今ではさほど珍しくない情景だったりするのでしょう。人をおとしめることにしか自分の存在価値を見いだせない人というのは哀れであり惨めではあります。被害者が出なければ放置して関わりたくないところではあります。
  最後の最後に告白する少年とそれに抱きつく先生ですが、それでストーリーが劇的に変わらないというのが16歳と27歳のリアルな恋愛といえるでしょう。先生は結局実家へ帰るし、生徒は学校で勉強を続ける。里帰りを思い直して同棲したり、先生を追って四国へ行くこともない。それどころか完成した靴さえ贈らない。元気だという手紙のみと言うのは、今風ではないかなと言う気がしないでもないですが、そこは古典の先生ということで(笑)
  世界を変える大きなイベントも大恋愛もない淡々としたお話ですが、だからこそ心を打つものがあるように思います。結局この二人がどうなったのかが描かれることはないのですが、それを想像するのもまた楽しいところです。そして裏テーマである「雨を好きになって欲しい」というメッセージは十二分に伝わったと思いますが、東京ではあんなに雨も雪も降らないよなぁというところはリアルに欠けたかなと言う気がしないでもありません。

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