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2013/04/21

[REVIEW] 劇場版『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)

劇場版『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』公式サイト  http://steinsgate-movie.jp/

  岡部視点で描かれたTVシリーズを受けて、クリス視点で描かれた映画は、続編としても正当な作品で、かつSFチックな風味を損なうことのない見応えのある作品だったように思う。
  時間を超えた旅の果てにどうにかたどり着いた世界線に自分の居場所がなかったとしたら…。それでもクリスやまゆしぃが無事であることを願う岡部、虚勢を張っているとは言え、なかなかに男らしい姿ではある。もっとも、二度と会えない女性にキスを残していくのは、アニメ的にはともかくどうなんだと言う気はしないでもないが。ともかう、異常を発覚してから消えるまでの岡部とそのことに気づかない周囲の様子、越えられない時間の壁と言うのはいかにもシュタゲ的な世界観ではある。そして消えた岡部を捜させるために、クリスを観測者とするのが後半のメインの話になる。設定的なパラドックスを言い出したらきりがないが、そこは愛と勇気が世界を救うと言うことだろう。「デジャブ」の解釈が斬新でもあり、こじつけともいえなくもないが。
  映画という限られた時間ということもありTVシリーズで岡部と視聴者が絶望したような無限ループに近いような拷問はなかった。ただ、岡部からタイムリープの話を聞いていたとは言え、2回にしてクリスが過去改変に絶望するというのは若干唐突すぎる気はしないでもない。ただ、それも映画単体として見たらということで、TVシリーズを押さえているファンには、その絶望感は十二分に伝わったことだろうが。
  今回はクリスがメインのストーリーであり、サブキャラや岡部でさえも脇役としての出演に止まっている。クリスを観測者とする手段はかなり強引であることはいなめないが、結局最後に愛が勝つということなのだろう。世界線や時間というのは、結局万人の納得する解を得られない命題のような気がするので、このエンドもありだとは思う。特にクリス役の今井さんにとってはすごくハードルの高い演技を要求されたと思う。そしてそれに答えてすばらしい演技を見せてくれたことに対しては感動すら覚える。そして今回は脇役となったレギュラー陣の支えも見事だった。2クールを通して作り上げてきた関係をパワーアップさせたことには素直に拍手を送りたい。
  作品の中にSFと言う言葉は全く出てこないが、「シュタインズ・ゲート」は近年まれにみるSFアニメの最高傑作と言ってよいだろう。時間をテーマにした作品は国内外を含め数々あるが、日本が誇っていい作品であることは間違いない。内容的には難解な部分も多々見受けられるが、愛は時間も科学も論理を超える、という点だけでも十分に鑑賞に堪えうる映画だと思うので、是非とも多くのみなさんに見てほしい映画である。

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