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2012/06/05

[REVIEW] Midnight in Paris

ミッドナイト・イン・パリ http://www.midnightinparis.jp/

  こういう幻想的な世界を描けるのは、パリのほかにはロンドンやローマぐらいなんだろうなと感心させられました。世界に誇る芸術の都のイメージそのままの素晴らしい映画だったと思います。アカデミー脚本賞という評価にも納得です。
  暴騰10分間ぐらいは、音楽に乗せてパリの名所の映像が流れます。まるで観光ビデオを見ているかのようですが、それでも映画として成り立ってしまうのがパリのパリたる所以ということなのでしょう。そこにやってきた小説家見習いの有名脚本家、結婚間近なようですが色々戸惑いがある様子、酔って町を放浪しているうちに呼び止められて車に乗せられて降りたら過去の世界。なんともエスエフ的な設定の中、ヘミングウェイと酒を飲み、ピカソの絵を見ながら小説を批評してもらう。もう少し西洋史の知識があれば映画にちりばめられたマメ知識を楽しめるだろうと後悔しながらも、それでもただただその世界観に圧倒されました。
  そして過去の世界で出会ったモデルさんと恋に落ち、夜のパリを散歩。実際の夜のパリなんてそんな綺麗な面ばかりではないだろうにとは思いつつ、でもその風景にうっとりとさせられます。そして最後の最後に20年代からさらに過去へジャンプ。その時代に虜になった愛人を残して現代へ戻ります。作品中で語られる、過去は過去だからこそ思い出として美しいというメッセージはまったくもって同感で、過去の美化された思いでだけに浸っていてはだめだよと言うのがよく伝わったと思います。何よりその時代に生きる人たちが、「昔はよかった」とグチっているのが、やっぱり昔も変わらないのねと笑えるシーンではありました。しかし、婚約者の浮気を大作家に指摘されるとは、それなら主人公じゃないけどあきらめもつくのかなぁと…(笑)
  日本の小説などだと、ここで主人公の書いた本がベストセラーになって、などと終わりそうですが、この作品ではレコード売りの店で出会った少女との新たな出会いで終わります。おしゃれというかパリは恋の街ということなんでしょうか。後は、西洋の人は雨に濡れるのをさほど気にしないと言う噂は聞きましたが、それにしても雨が強すぎだろうと思ったり思わなかったり。特に女性にとっては(笑)
  とりあえず監督さんもスタッフさんも、きっとパリと言う街が大好きなんだろうなと言うのが伝わってくる映画でした。そして映画を見た人に「是非パリに行ってみたい」、「出てきた作家や画家のことを勉強したい」と思わせるような映画だったと思います。派手なイベントもあっと驚くエンディングもありませんが、でもすごく面白い映画だったと思います。

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