[REVIEW] ANGELS & DEMONS
まずは、いきなりCRENから入ると言うのが破天荒であり得ない設定ではある。そしてそこで生成した反物質が盗まれてローマに設定されるとは…。確かに反物質を作るのは可能だけど、目に見えるあれだけの量を作ると言うのは、おとぎ話以外の何物でもないと思うのだが…。実際に量以外の部分で反物質が出来ているのも間違いではないのが困ったところではある。所詮フィクションとは言え、あんまり科学に縁のないみなさんを脅すような作りはどうかと思わないでもない。CREN自体は宣伝効果もあってか協力してくれたみたいだけど(笑)
バチカンとかキリスト教がヨーロッパの歴史において大きな意味を占めているというのは知識として理解はしているが、その影響力や人々の信仰心と言うのは正直よくわからない。ただ、わからないからこそ「こんな映画作って怒られないのかなぁ…」と言うのは強く感じるところではある。法王を選ぶ儀式のタイミングに併せて殺人事件が怒る、そんなストーリーを日本で描こうものなら関係各所から抗議の嵐となりそうなものだが…。あれだけの映像をとるためには全面協力とは行かないまでも、現地での作業は必須のはず。よくも問題にならなかったと関心してしまう。
個人的には空撮でコロッセオを通ったり、石畳の道路を車が爆走するシーンをみて、2009年のジロの最終タイムステージを思い出させた。後はスタディオ・オリンピコが見れればスポーツファンとしては言うこと無しだったが、さすがにストーリー的に不要の建物だった様子。ただ、名所旧跡であふれるローマの街を、小規模ではあるが爆風の被害にあわせるというのもおそれいった。そもそも、街が吹き飛ぶくらいの爆薬を、高高度で爆発させると被害がさらに大きくなる気がするのだが…、なんてことは、「それ言わない約束~」と言うことなのだろう。
物語の主要部分が、教授が到着してから爆弾爆発の時間までの5時間弱の間で推移、しかもローマ市内を言ったりきたりするだけにとにかくテンポよくストーリーが進んでいく。行く教会がことごとく工事中で、そこへ無理矢理押し入って行く姿は、人の命がかかっているとは何となく釈然としないものを感じてしまう。一時間ごとに人が普通でない方法で殺されていく、と言う点を除けば、テンポの良さと迫力あるストーリーで楽しめることは間違いない。残念ながら犯人探しのミステリーについては期待しない方がいいだろう。当初の予想どおりの人が黒幕で色々やっていると言う印象。
主演のトム・ハンクス氏としては、このキャラはお気に入りのようで、是非ともシリーズ化したいとのこと。このような作品が見れるというのはそれはそれで楽しいとは思うのだが、彼の専門分野である西洋史を生かせる謎というのがそんなにあるのかと言う点が気になるところではある。キリストの謎やガリレオの謎に勝るようなミステリーが存在するのか、まあ存在するとは思うけど、うまく映画に出来るようなストーリーになるのかが心配なところである。歴史の謎を解き明かしていくという爽快感が最大の見所なだけに、肝心の謎に迫力がなくては面白さも半減してしまうことは間違いないだろう。その意味で今回のストーリーは、前作とは趣向が異なるものの十分鑑賞に耐えうるすばらしい出来たっだといえる。
| 固定リンク
「映画」カテゴリの記事
- [REVIEW] 花とアリス殺人事件(2015.03.21)
- [REVIEW] ラブライブ!The School Idol Movie(2015.06.14)
- [REVIEW] 攻殻機動隊 新劇場版(2015.06.20)
- [REVIEW] 百日紅~Miss HOKUSAI~(2015.06.21)
- [REVIEW] 台風のノルダ(2015.06.21)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント